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映画「ミラベルと魔法だらけの家」感想

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(C)2021 Disney/Pixar. All Rights Reserved

 

 

 

 

2021年のディズニーアニメ映画である今作品

 

ディズニーはその作品のテーマにあった国籍文化を見つけてくるのが上手いなと思います

 

多様性が叫ばれてる中で今更ザアメリカンスタイル文化でストーリーをつくれない縛りが出来てしまってるとも取れます

 

だから実写リメイクやりたがるんでしょう

それでもなかなか厳しくなってきてますが

 

そんな話はさておいて

 

私は映画を見た後必ずその作品の評価を見に行ってしまうんですが

 

今作品はやや総体的に低めでしたね

その辺の理由も追っていきたい

 

では早速感想箇条書き

 

 

ミュージカル作品

今作品、ほぼずっと誰かが歌ってますね

 

特質するべきなのが1度しか観てない私が覚えてるのでも2曲ほど日本語和訳歌のない曲がありました

 

オリジナルをそのままなのかはわかりませんがその歌の歌詞が字幕になってました

 

ディズニーアニメ映画でこれはかなり珍しいのでは?

 

そこからも垣間見えるこの作品の伝える文化の難しさです

和訳ができない、もしくはわざとそうしたい

オリジナル言語の曲で魅せたい意志が感じれます

 

オリジナルでしか出せない何かがあるということはそれを言語化すること、表現することの難しさが伝わってきます

 

自国にない文化を感じる時、人は異質に取ると言うこともわかるわけで

多様性を求めた結果の作品に対してある意味とても皮肉だなと思ってしまう

 

この辺りも日本の評価が低かった理由のひとつかもしれません

 

コロンビアの音楽に馴染みがある日本人はそんなに多くはいないはず

 

「アナと雪」がヒットした理由もそうですけどアニメ映画評価における音楽の重要性ってとんでもないです

 

個人的には昔のディズニーアニメ映画作品を彷彿とするのでミュージカルはどんとこい派です

 

おばあちゃんが歌った時はおばあも歌うんかい!と少し笑えたのでより好き

 

ミラベルの境遇に涙

もともと涙腺が弱くてすぐ泣いてしまうので個人的に泣いたシーンを書く事で、そんなもんで泣くんかいと思われそうで怖いですが涙の押し付けにならないよう書きたい

 

自分は結構序盤で泣いてしまいました笑

 

ミラベルの境遇があまりに可哀想すぎた

 

親、家族が出来ることは子どももできる

 

それが出来なかった時に他人が押し付ける自分の価値

そして家族も皆、これをミラベルに押し付ける

 

俗に言う2世タレントや親の七光りと言われてしまう人の気持ちがほんの少し垣間見れた気がしました

 

ミラベルだけがギフトを受け取れなかった

私は受け取れる準備は出来てる

そう叫んでもそのギフトをくれるチャンスはもう誰もくれない

 

一度の失敗がとても大きな失敗で、2度目の挑戦の切符をくれようとしない

くれるチャンスさえ考えようとしない

 

もらえなかったという事実のラベルだけを見て皆がミラベルを扱う

 

それでも笑顔を絶やさない様に、自分はマドリガルの一員なんだと思い、それだけを頼りに生活するミラベルに心が苦しくなった

 

なんて良い子なんだ…

普通なら腐る 

もちろんその腐った方をブルーノというキャラが請け負う抜け目のないストーリー

 

しかもそのブルーノ自身も腐っても腐り切らずに家族を愛し、家族の為に行動している

ここもブレないストーリーにひと役かっていて素晴らしい

 

 

ミラベルの祖母

出立ちから悪役と決めつけてしまった

 

しかしそうそうに祖母は祖父を早くに亡くし魔法を受け取りこの町が作られたとわかる

 

悪役ではなかった

じゃあ誰が?となったが、今作品に悪役なんてものはなかったのが答えだった

 

もうディズニー作品も悪役と言うステレオタイプのキャラクターはつくらないのかもと思いを馳せてしまった

 

誰もがみなただ、家族を守りたかっただけなのだ

 

ミラベルが視点の物語だったがゆえに祖母が悪く見えてしまった人がいるなら

祖母目線でこの物語を始めから見るとおそらくミラベルこそが悪役に思えてしまうだろう

 

だけど先述した通りに思いは同じだったのが答え

 

それをわかりやすくしたのが終盤で見る祖母と祖父の出会いのストーリー

 

あれでミラベルも祖母の気持ちを理解し和解できるのだから上手な表現方法だと思うし評価されるべき点だと思う

 

わかりやすく簡単に!誰にでも!この絶対原則を守り通すディズニーアニメ映画の強さ

 

しかし文化の馴染みのなさが邪魔をしたなぁと言うケチはつく

 

ミラベルの姉達

ミラベル以外のマドリガルの血を引く家族は皆ギフトが使える

 

ギフトを持っていない町の人やミラベル、ミラベルの祖母にはその家族がいかにスーパーヒーローに見えていただろうか

 

しかしそんなスーパーヒーロー達も心の中で悩んでいた

 

特にルイーサは個人的にすごく心に残った

力持ちな彼女は常に周りからの期待のプレッシャーに耐えていたのだ

 

自分がプレッシャーを抱えていることすらスーパーヒーローゆえに誰にも見せられない、言えないと悩んでいた

 

力が弱くなるのを感じるたびにミラベルに口にした事でタガが外れたのかさめざめと人前で泣く彼女を誰か抱きしめてと言いたくなってしまった

 

しかし彼女の悩みの行きつく先はミラベルなのだ

ミラベルこそがマドリガル家でただ1人

ギフト授与の儀式以降、子どもの頃から周りの期待のプレッシャーに押しつぶされ扱われてきた

 

反面そんなミラベルを見てきたからルイーサはここまで悩んでしまったとも言える

 

カシータ

あんな家欲しい

それが最初に思う感想笑

 

このカシータ

ロウソクの火が消えかけイザベラやカミロがロウソクに近づいたがカシータの崩壊と共にギフトが消え、ミラベルだけがロウソクに近づけたシーン

 

ここのシーンが今作品のキモなんではないかと勝手に思っている

 

実は作中、カシータと会話していたのはミラベルだけだった様に思う

1回しか観てないので勘違いかもしれない

 

あとは祖母がカシータに話しかけと言うか命令をしていた

 

この2人はどちらもギフトがない者同士(婿は除く)

 

個人のギフトがないからこそカシータが平等に与えられた唯一のマドリガル家のギフトなので2人の生活により近くにいたのではないかと推測

 

つまり誰よりもカシータ自身を愛し、大切にしていたのはミラベルと祖母なのではないか

 

だからこそあのシーンでミラベルだけがロウソクへと近づけたのでは

 

これはミラベルに与えられたギフトにも関係してくる事柄なので次

 

ミラベルのギフト

上のカシータで書いた様にミラベルと祖母がマドリガル家の中で誰よりもカシータを愛し、守りたいと思っていた

 

と、するならば作中でははっきりと描かれなかったミラベルのギフトが見えてくる

 

祖母はロウソクの火から与えられたギフトを守ることに命をかけていた

 

それがギフトの力(ロウソクの火)と引き換えの様に命を落とした祖父に対する礼儀であるし

カシータを与えられた自分の使命だと思ったから

 

だからこそつい厳しくなってしまい

家族の意義を見失ってしまっていた

 

 

そしてそれはおそらくミラベルから起きた事なのだろう

 

この場合ミラベルから起きた事はギフトをもらえなかったミラベルから起きた事ではない

 

想像するに自分の子どもがギフトをもらい、さらにその孫カミロがギフトをもらった

 

このカミロがもらった事が祖母の引き金だった様に思う

 

自分の子どもだけではなく孫にまでギフトは渡る

それを知った祖母のプレッシャーは如何程ばかりか

 

子孫永劫にマドリガル家はギフトは与えられ続けなければならない、その使命を背負ったのだ

 

そのプレッシャーにより祖母は家族に厳しくあたりはじめたのでは

 

そして、そんな中、次のミラベルはギフトをもらえなかった

 

これはカシータから、またはロウソクの火からの祖母への警告だったと思う

 

ギフトなんてなくても、与えられなくても

家族は家族

家族達が愛し合う事が大事なんだと

ブルーノが家出し家族に厳しくする祖母への最後通告だったのでは

 

しかし祖母はさらに家族へと厳しく当たる様になってしまう

 

唯一ミラベルだけがマドリガル家で1番それを理解していた

 

よくわかるのがイザベラの婚約のところ

祖母は相手がマドリガル家にとって良い家柄かどうかのみを見ており家族の思いをないがしろにしてしまっている

 

一方ミラベルは家族の中で1番最初にイザベラの婚約への思いを知ることになる

 

祖母も理解し和解したのちに家を立て直した後、ミラベルがドアノブをつけた時、魔法はもう一度かかる

 

カシータを蘇らさせる もしくは

ギフトを未来永劫マドリガル家に与える

 

それこそがミラベルがもらったギフトだった

 

まさに祖母が強く願い、守り抜きたい事をギフトをもらえなかったはずのミラベルが与えたのだ

 

反面、祖母が家族を見失わなければミラベルは最初からギフトをもらえていたと言えるがそれではストーリーは始まらないので致し方ない

 

この事が見ていてわからなくても、祖母が家族に厳しくしている、特にミラベルへと言うのは感じることはできる

 

その事が見てる者の祖母への共感力が低くなる要因でこれまた評価が下がる原因だろう

 

しかし前述した通りに祖母は家族を守りたい思いが強いゆえの行動であり

ミラベルをただ単純に忌み嫌っているわけではない

 

 

移ろう感情表現の難しさ

今作品で個人的難点をあげるとするなら祖母の和解の部分

 

祖母があまりに早くミラベルと和解してしまう

さらに言うと祖母がミラベルにグサリと言葉で刺されるシーン

 

おばあちゃんだけがわかってない!の言葉になぜあそこまで祖母が傷つくのかわかりづらい

 

またその後すぐに祖母が過ちに気づきそれをミラベルに謝り仲直りするのはご都合主義と捉えられても致し方ないほど早い展開

 

これはディズニーアニメ映画作品でよく見られる傾向に感じる

 

もちろん上で書いてきた様に祖母は決して悪役でもないし、ましてや家族を守りたい気持ちは誰よりも強い

 

その理由や彼女が話すこんな人生を送ろうとは思ってなかったと言うセリフからも彼女の柔軟性を感じる

 

この部分にもう少し流れがあれば見ている人はもっとわかってくれた様に思う

 

だけどそれが家族なんだと思う

大家族の家がケンカの度にわざわざ懇切丁寧に理由を述べ理解しあって謝罪などしないし

 

ケンカして次の日には何事もないように会話するのが家族の様に感じる

 

それがまさにブルーノと祖母の和解の部分で出ている

 

そしてもちろん舞台はコロンビア文化の世界観なのだ

 

核家族が日本まで進んでいないのだろう

この部分に疑問を持つ人など日本ほど多くはないと予想する

 

 

まとめ

今作品は家族を扱うテーマ性ゆえにコンパクトに収まっているストーリー展開に感じるが

実はそれは表面だけしか見えていないと思える

 

コロンビア文化を知っていれば知っているほどこの作品は奥深いものになっている様に感じる

 

ただ、それがこの作品の理解を下げる要因でもあり多様な文化を全世界でわかりやすく伝える難しさの課題も残る

 

それでも誰もが共通する家族と言うテーマな為、コロンビアを何も知らない自分が見ても誰かが見ても一定のおもしろさはある作品になっている

 

そして何より正真正銘いつものディズニー級ハッピーエンドが安心できる

 



ディズニープラスにて視聴

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